2つの税務顧問サービス~自計化と記帳代行~
コラムでは、経営や業務の合間の息抜きにお読みいただける情報を発信します。
第3回は最近ご質問をいただくことが多い自計化と記帳代行のメリット・デメリットを考えます。
お急ぎのかたも読めるよう、最後に「一枚サマリー」をご用意しています。
この記事を読むことをお勧めする方
- 税務顧問を依頼しようとしているが、何をやってもらえるのかが、よくわからない方
- 「自計化」「記帳代行」は聞いたことがあるが、どのサービスが良いか悩んでいる方
この記事を読むと
- 一般的な税理士事務所の顧問サービスの内容がわかる
- 「自計化」と「記帳代行」のメリット・デメリットと自社にあった選び方がわかる
一般的な税理士事務所における2種類の顧問サービス
一般的に「税務顧問」といった場合、「自計化」を依頼できる場合と「記帳代行」を依頼できる場合があります。
「自計化」と「記帳代行」はざっくりいうとお客様と会計事務所の役割分担の違いで分けることができます。
役割の違いとは何でしょうか?
最も大きな違いは集めた領収書等を、誰が会計システムに入力するかです。
自計化ではお客様が行う一方、記帳代行ではこれを会計事務所に一任することができます。
※レシートを会計事務所に丸投げする方式は、厳密には「起票代行」という場合がありますが、多くの事務所の表現にならって「記帳代行」としています
「自計化」と「記帳代行」のメリット・デメリットと自社にあった選び方
「自計化」と「記帳代行」は以下の4つの点でメリット・デメリットがあります。
- 必要な社内リソースの量
- 社内の経理体制構築ができるかどうか
- 会計数値の正確性がどの程度担保されるか
- 会計数値の説明可能性が高いかどうか
まず「自計化」は自社で経理を行う必要があるため、社内のリソースは必要です。
しかし、自社で経理を行うという特質上、社内の経理体制の構築をすることができます。
また、自社での経理が正しいかどうかを、会計事務所がプロフェッショナルとして確認してくれるため、記帳代行と比べると会計数値の正確性も高まります。
最後に、会社で日々経理を行うことで、経営者をはじめとして自社の会計数値に対する理解が深まり黒字決算の実現に役立ちます。また、金融機関や税務当局など対外的な説明もしやすくなります。
以上を踏まえると「自計化」は社内リソースが必要である一方で、将来の会社の成長を目指される会社には適したサービスであると考えられます。当事務所でも、経理体制の構築から経営判断に活かすまで一貫した自計化のご支援に力を入れています。
次に「記帳代行」は会計事務所に経理を一任するタイプのサービスですので、社内のリソースを節約することができます。
しかし、経理機能をアウトソースするため、社内の経理体制の構築はできません。
また、会計数値の正確性の観点からは品質が担保される場合とそうでない場合があるので注意が必要です。アウトソース先の業務内容を確認することは難しいことが多いため、事前に以下のような点をしっかり確認されることをお勧めします。
- 税理士自身が入力を担当するのか(無資格の事務の方がご担当する場合も多くあります)
- (無資格の事務の方が担当する場合)税理士自身がチェックしているか
最後に、数値の説明可能性ですが、会計事務所にすべて一任しているため、自計化の場合と比較すると数値の説明は難しくなります。
ただし、社内のリソースをとことん節約できるというのは大きなメリットですので、とにかくフットワーク軽く、フリーランスのような形で活躍できることをを重視したい方にはおすすめのサービスといえます。
以上のように将来の会社の成長を目指したいか社内のリソースをとことん節約したいか、将来の目指したい会社の姿をイメージしたうえでサービスを選ぶことをお勧めいたします。