ところで「DX」ってなんでしたっけ②

コラムでは、経営や業務の合間の息抜きにお読みいただける情報を発信します。
第2回は前回に引き続き「DX」について考えてきます。

前回の記事はこちらからご覧ください。

お急ぎのかたも読めるよう、最後に「一枚サマリー」をご用意しています。

この記事を読むことをお勧めする方

  • 「DX」は聞いたことはあるけどよくわからない方
  • これから「DX」について考えていきたい方

この記事を読むと

  • 「IT活用」と「DX」の違いがわかる
  • 「DX」と「CX」「EX」の関係がわかる

「IT活用」と「DX」の違い

前回の記事では①DXとはデジタルを活用して、企業を丸ごと生まれ変わらせることで、競争優位を得ること、②デジタル変革は部門横断で取り組むことにより、売上増をもたらすこと、③デジタル変革が成功したケースはわずか16%であり、組織の挑戦の賜物であること、の3つを考えてきました。

ここで、今まで進めてきた「IT活用」とは何が違うのか、疑問の方も多いのでないでしょうか。
今回の記事ではまず「IT活用」と「DX」の違いを掘り下げて考えていきます。

この二つをざっくりと俯瞰すると以下のようになります。

  • IT活用:既存のビジネスや業務をITなどの技術で置き換える、拡張する
  • DX:既存のビジネスや業務を破壊し、変革する

例えば、とある社内業務を部分的にRPA(Robotic Process Automation)により自動化するのはIT活用ですが、その社内業務を完全自動化し、その業務にあてていた人員を大幅削減、力を入れたい領域への配置転換を実現した、これによりクリエイティブな業務に従事できる人が増え、従業員の働き甲斐が向上したとなるとこれは「変革」を伴うものでありDXと考えられます。

一方で中小・零細企業においてはまだまだIT活用も道半ばということも多いのではないでしょうか。その場合はDXだ・変革だと意気込まず、IT活用から着手することをおすすめします。

IT活用もDXの重要な土台です。例えば、各従業員が手元のパソコンで管理しているデータをクラウドストレージで管理し共有するといったシンプルな取り組みもよいのではないでしょうか。その取り組みも、組織の文化を「デジタル活用を推進する」と方向づけするという意味では、とても大切な一歩といえます。

「DX」と「CX」、「EX」

また新しい「X」が登場しました。
「CX」と「EX」です。

これから「DX」を誰に対してのDXかという軸で分類します。その時に登場するのが、「CX」と「EX」です。

まず、「CX」とは顧客体験(Customer Experience)の変革であり顧客接点やサービスそのものをデジタルによって変革することを指します。

例えば、学習塾を営む会社を例にしてみましょう。最近では新型コロナ感染症の影響もあり外出自粛が続いています。そのため、子供達には家にいながらも学校や塾に通うのと同じように勉強がしたいが、それができないという課題が考えられます。

この顧客の課題をデジタルを活用して解決することが顧客体験の向上でありCXです。たとえば、家にいながらタブレットで学習でき、学校や塾に行って勉強する場合と比べて遜色なく先生とのコミュニケーションもとれる仕組みを提供すること、などが考えられます。

次に「EX」とは従業員体験(Employee Experience)の変革であり、社内業務をデジタルによって変革することを指しています。

例えば、社内の経理業務を例にしてみましょう。最近では人材や考え方も多様化し、働き方もその人に沿った働き方ができるか、というの点は魅力的な企業としての重要なファクターです。一方で、会計システムが社内からアクセスできないといった制約があり、出社を余儀なくされ、自分らしい働き方ができない、という課題が考えられます。

この従業員の課題をデジタルを活用して解決することが従業員体験の向上でありEXです。例えば、クラウド会計システムを導入し、会社に行かなくとも業務ができる仕組みを提供し、従業員の自分らしい働き方を実現すること、などが考えられます。

このように「DX」分けてみると、自社の「DX」の取り組みが「CX」と「EX」のどちらに向いているのか、考えることができると思います。また、「EX」しか取り組んでいないという方は「CX」も取り組めないか、考えてみてはいかがでしょうか。

一枚サマリー

IT活用とDXの違い・CXとEX