消費税導入以来の大改正!?インボイス制度に迫る ~ 第2回:インボイスがきっかけで取引先流出!?~

前回は「消費税のキホンのキ」と称して、消費税の仕組みをおさらいしました。
今回から本コラムの本題であるインボイスについて触れていきます。
消費税ってどういう仕組みだったっけ?という方は前回の記事をご覧ください

この記事を読むのをお勧めする方

  • フリーランス・個人事業主含むすべての事業主の方
  • 「適格請求書」「適格請求書発行事業者」って何のこと?というかた

インボイス制度が利益を圧迫する!?

前回お伝えした通り、消費税の計算は

消費者から預かった消費税(32円) ー 仕入れにかかった消費税(24円)  = 納める消費税(8円)

でした。

2023年10月から「インボイス制度」が導入されると
仕入れのときに受け取った領収書のうち、国のお墨付きが付いた領収書だけが「仕入れにかかった消費税 」として認められる
ということになります。

もし、国のお墨付きがついていない領収書をもらってしまったらどうなるでしょうか?

まず取引先から商品を仕入れる場合を考えていましょう。

仕入のときの領収書にお墨付きがついていなかった場合、仕入にかかった消費税が認められないため0円という扱いになってしまうので

消費者から預かった消費税(32円) ー 仕入れにかかった消費税(0円)  = 納める消費税(32円)

となってしまいます。

仕入のときに消費税(24円)を支払っているはずなのに、その消費税分(24円)も納税しなければならず、
二重に消費税を負担する計算(48円)になってしまいます。

お墨付きの無い領収書をもらってしまったことで、消費税によって利益が圧迫されてしまうのです。


今度は取引先に商品を販売する場合も考えてみましょう。

領収書に国のお墨付きをもらっていないと、取引先は消費税分損をしてしまうことになります。

もし、同業他社がお墨付きをもらっていて、同じような製品サービスを同じ値段で提供していたらどうなるでしょうか。

取引先は、取引するたびに消費税分を損する会社よりも、損をしない同業他社と取引をすることを選ぶのではないでしょうか。

つまり領収書に国のお墨付きをもらうか否かの判断を誤る取引先流出リスクがあるということになります。

反対にインボイス制度が導入されても利益を圧迫しないようにするには、お墨付きをもらった領収書を発行してくれる業者から仕入れる、ということが合理的な選択になってしまうのです。

魚屋とスーパーの取引の例

改めてインボイスとはなにか

今まで「お墨付きのついた領収書」という名前を使いましたが、正式名称を「インボイス(適格請求書)」といいます。

インボイスは一部の免除される事業※もあるのですが、ほとんどすべての事業で対象になります。

フリーランスや個人事業主であっても例外ではありません。

特にtoB向けのビジネスをしているのであれば、取引先流出のリスクを考えると2023年10月以降は「インボイス」を発行することを取引先にしっかりアピールすることが重要です。

※3万円未満の公共交通機関による旅客の運送や自販機による商品の販売、出荷者等が卸売市場において行う生鮮食品の販売など

では「インボイス」は誰でも発行できるのでしょうか?

実はだれでも発行できるのではなく、お墨付きが与えられた業者として国に認定してもらう必要があります。これを「適格請求書発行事業者」といいます。

ところが、「適格請求書発行事業者」は、消費税を納税する人しか登録できないのです。

この記事をご覧いただいている事業者の方の中には「消費税納めたことない」「免税だった」という方もいらっしゃる方も知れません。

次回は消費税の免税とインボイスについて触れていきます。